100kmの効果

親子で100kmを走る意味は、第一に我が子の偉大さを実感で きる醍醐味でしょうか。全員が感じることは、目の前を走る子供の背中がとても大きく、逞しく見えたそうです。黙々とペダルを回す子供達の姿は感動すら覚えます。
100kmを走る意味
ちょっと前まではペダルのない二輪車「ランニングバイク」のレースを主催していましたが、その主役は子供だけであり、親はただ見ているだけにもかかわらず子供の尻を叩くばかり。しかし、子供が大きくなると「自分はやらないのに口先だけであれこれ言う親に対して疑問を抱き始めます。子供が期待しているのは椅子に座って遠くから指示をする親ではなく、一緒になって戦ってくれる親、子供以上に頑張っている姿を見せることが出来る親の姿であります。
それであれば親子で一緒にできて、達成感を得られるものはないかと探した結果が、自転車に乗って遠くへ行くことでした。子育てを経験された方はご存知だと思いますが、子供達の体力は無尽蔵です。休む暇なく遊びまわっていても疲れることを知りません。みている親はへとへとなのに。
そんな子供のもつ体力を生かすためにも、自転車というツールは大人も子供も同じ土俵で戦えるためにピッタリだと思いまして、娘が幼稚園を卒園する記念に石神井公園から横浜・山下公園までの往復100kmを自転車で走ってみることにしました。はっきりいって完走できるかどうかはわかりませんでしたが、発想を転換してみました。横浜までは片道50キロですが、それは我が家から光が丘公園までを3往復するのとほぼ同じ距離です。だとすれば午前中に3往復、午後に3往復をする距離と考えると、そんなに難しい距離ではないと思えるようになり、重い腰を上げることになりました。
子供の体力はニッケル水素電池のように、突然に充電切れを起すので、1時間走っては15分の休憩を繰り返していると、まったく疲れを知らずに何処までも走ることができることを発見しました。コース上でバッタ取りをしたり、おにぎりを食べたり、寝転んで空を見上げてみたり、そんなことをしながら走っていると片道50キロはあっという間のことでした。到着した横浜では散々遊んで、気がつけば雨の空になったので慌てて帰り支度をして帰路に着きましたが、雨降る国道15号を真剣に走る娘の姿は、コドモというよりもひとりの立派な自転車乗りに見えました。そしてムスメから同じ目標を目指している相棒へと、その立場が変わっていました。あの小さかったはずの娘が、今はサイクリングの相棒として一緒に走っていると思うと、その成長振りに涙が出てきました。まだ6才なのに40代の父親と同じ土俵に上って戦っているわけでですからね。これは本当に凄いことだと思います。そして無事に100キロを走破して帰宅した娘を見て、同じ自転車乗りとして彼女に対して尊敬の念を抱いた感情は今でも忘れません。12時間以上も一緒に自転車に乗って、お互いに励ましあいながら100km完走を遂げたという事実は、彼女がこれからの人生を歩む上で大きな自信とチカラになることは間違いないでしょう。そんな感動をひとりでも多くの自転車仲間の親子に経験して欲しいと思います。
親子で一緒になって時間をかけて何かを成し遂げるというのはとても大切な経験だと思います。

100kmを走る準備
100キロを走る前にはミニサイクリングを楽しんでみてください。上の写真は定例となっている多摩川自転車道経由で多摩湖を一周した時のものですが、初めて長距離を走った子供達も何事もなかったのかのように笑顔で完走しました。往復50キロ程度でしたが今では普通に走れる距離になってしまいましたので、自分の基準となる距離感を身につけると100キロを走るのが精神的にも楽になると思います。
100キロの中には当然公道を走ることも多いので、車道の左側をスムーズに走れる様な練習をしておくことも必要になります。基本的な自転車の乗り方をしっかりマスターしておきましょう。
使用する自転車は走りやすいものが一番です。メニューページの「自転車」の項目に詳しく書いてありますが、長距離を走るのに相応しい自転車、相応しくない自転車がありますので、楽にスピードがでてペダリングが重たくないものを使うのが理想的です。
体調管理は万全を期してください。特に寝不足や栄養不足は長時間走行の敵となりますので、前々日から親子ともに早寝早起きの体制で望み、出発前にはしっかり食事を摂ることが大切です。自転車で走行中は知らず知らずのうちに栄養を使い果たしていますので、休憩をする際には必ず少しでも構わないので栄養補給食品を口にするようにしましょう。ウイダーinゼリーやカロリーメイト、一本満足バーなどをこまめに口に入れることでハンガーノックになるリスクがなくなります。特に子供の場合は一度エネルギーが切れてしまうと復活までに時間がかかるので、常にバッテリーの容量が60%を切らない程度の元気さを持続してあげることが大切になります。子供のフィジカルバッテリー容量が30%を切ってしまうと、メンタルバッテリー容量は10%を切っているので様々な障害がでてくる可能性が大となります。
タイヤの空気圧とサドルの高さはしっかり調整してください。タイヤの空気圧が高いと段差で自転車が跳ね、その振動で疲労が蓄積してきます。走っているときにはタイヤがへこまずに、段差を越えるときにようやくタイヤがへこんで衝撃を吸収してくれますので、高すぎる空気圧も低すぎる空気圧もNGです。そしてサドルが低いと膝に負担がかかりますので、歩くのと同じ脚の使い方になるようにサドルの高さも必ず調整してください。特に子供の場合は成長が早いので、2ヶ月もするとサドルの高さが変化しますから、日ごろから適正なサドル高さを自分で判断できるようにしてあげましょう。
子供と大人で一番異なるのが握力になります。大人野握力が50キロに対して小学校一年生の男子では10キロあればいいほうなので、長時間ハンドルを握っていると握力が低下して、ハンドルを握るのが辛くなってきますので、なるべくクッション性の高いグローブを着用することをオススメします。
【特に注意していただきたいこと】
ランニングバイクと大きく異なるのは、100キロを走るには公道を走る必要が出てきます。実際にはクルマと並んで車道を走ることになりますが、車道を走る場合にはKEEP LEFT(左側通行)を徹底するとともに、「止まれ」マークがある場所や見通しの悪い交差点ではかならず一時停止をできるスキルも必要となります。これは日ごろから保護者の方が一緒に自転車に乗って、正しい自転車の乗り方を教えてあげることで対応できるはずです。公道に出たらそこには大人も子供もありません。子供であっても立派な交通社会人の一員であり、自転車で誰かを怪我をさせた場合、子供だからといって許されるわけではありません。そのためにも保護者の方が自転車ルールをしっかりと理解しておく必要があります。

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100kmを走ったあとは
100キロを走り終えても子供達は意外と元気です。親は精神的にヘトヘトかしれませんが。完走をした後はお子さんをしっかり抱きしめてあげてください。そして100キロという距離がいかに遠いものかを実感させてあげましょう。大人だって簡単には出来ないことを我が子が成し遂げ、そのことに対して親として感動をしている姿をお子さんにしっかり見せてあげましょう。
一緒にお風呂に入って、楽しかったこと、辛かったことを話し合ってみてもいいと思います。ゴールをした瞬間からお子さんに対する接し方がちょっと変わっているのがわかるはずです。我が家では地図を買ってきて自分たちが走ったルートをマーカーで塗りつぶして、実際に走った距離を実感しています。電車に乗ると1時間以上かかる距離を自転車で走ったことがわかると、子供でも自分のしたことが凄いと理解できるようです。特に小学校一年生では100kmという距離感を理解していないので、これを機会にしっかりと教えてあげるといいかもしれません。
今までにランニングバイクの大会では何度か表彰台に登らせてもらうチャンスがありましたが、100kmを完走したあとの感動はその何十倍にも匹敵します。そして強烈にそのイメージが頭の中にインプットされています。当たり前でしょう。ランニングバイクのレースは見ているだけですが、100キロ走破は子供と一緒に走った成果なので、傍観者ではなく体験者となりその感動も一入となります。
